南シナ海の問題で緊張が高まるフィリピンと中国の関係において、緊張を緩和し、信頼を回復するために、フィリピンのラモス前大統領が特別大使として、中国を訪れていることがニュースになっていました。
「Fidel Ramos takes first steps to build trust with China」
http://www.philstar.com/headlines/2016/08/12/1612752/fidel-ramos-takes-first-steps-build-trust-china
国際仲裁裁判所が、南シナ海に関して、フィリピン側の主張を認めてから約2か月。ドゥテルテ大統領から指名されたラモス前大統領が、中国からも歓迎される形で迎えられているようです。
そしてラモス前大統領と、彼の中国側の友人が話し合ったのは以下の論点。
1、海洋保護、(両国の)緊張の緩和、漁業での協同
2、反ドラッグ、反汚職、ツーリズムの推進
3、貿易と投資の推進
ここからもわかるように、海外の国々は非常に外交が巧みだと思いますよね。
外交の基本は、表では、右手で相手を殴るふりをしながら、裏では、左手で握手をし、きちんとした交渉を重ねること。前者により、国内の不満をいくぶんか解消し、後者でしっかりと実利を得ていくことです。いわゆるダブル・スタンダードであったり、複数のパイプで複数のアプローチを政府ができることがいわゆる外交の基本のはずです。
以前ドゥテルテ大統領は就任前に過激な発言をしており、そこばかり日本のメディアなどでも取り上げていました。が、実際はこうしたニュースの方が価値を持っているわけですよね。微妙な両国関係の変化が見えるからです。
表からだけの、正式のルートしか持たないのは、外交としてはあまりにも粗末。
日本は、対中国に関しては、自衛隊機の貸し出しなどフィリピン加担に偏っているようにも見えるわけで、こうしたニュースに垣間見えるように、フィリピンと中国両国の関係が微妙に変わるわけですよね。なので、日本も様々なパイプを持つことが重要なはず。
かつて第2次世界大戦に踏み出すきっかけの一つである国際連盟脱退の際の、松岡洋祐氏の「欧州複雑怪奇」発言にも見えるように、正式ルートの発言だけを真に受けて、相手の心変わりを不当だと思うような幼稚な外交は繰り返してはいけないわけですよね。
アメリカ一極集中から、奇しくもトランプ氏の発言が暗示しているように、アメリカがその地位から“撤退”するような、大きな世界の枠組みが変わる時代に入りつつあるわけで、国際情勢を、特に東アジア・東南アジアの政治力学を抑えることは、すごく大事だと感じます。
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