「もっと送金しろよ」とのお達し

「もっと送金しろよ」とのお達し

先週、フィリピン関連のあるニュースを見た。

 

Online plea launched against Philippines remittance law
http://gulfnews.com/news/gulf/uae/general/online-plea-launched-against-philippines-remittance-law-1.1299120

 

そこで初めて新たな法案の存在を知った。

 

「remittance law(送金法?)」

 

簡単に内容を要約すると、「海外で働くフィリピン人は、定期的に何度も本国に送金しなければならない。そうしないならばパスポートの更新をさせない」とする法律。

 

めちゃくちゃな話。。。さすが人治の国。。。

 

フィリピンは海外の出稼ぎ労働者の送金が、国全体の収入の1割を占めるといわれている。そのためフィリピン政府は、そこからもっと収入を得たいらしい。

 

ただ長く住んでいればわかる。そうした送金により、働かないフィリピン人も繰り返し生み出されている。フィリピンは1人働く人がいれば、家族がもたれ掛ってくる。働く人が働き続け、一生働かない人も出る有様だ。

 

最近聞いた話では、ある若いカップル。その男性は高い学費をマリンエンジニアの兄に出してもらい、マリンエンジニアになるための学校を卒業した。マリンエンジニアは世界中を回り収入が良い。が、当然彼女とは離れて暮らすことになる。ところが彼女が「離れて暮らしたくない」と主張し、彼は働かないという選択をした。ここ注目ですね。「働かない選択がある」んです。そして子供も生まれているらしいのですが、彼らの生活費・子供の学費すべてを出しているのは、先ほど登場の兄。フィリピンはこれを美談として、当然として受け入れている。

 

「貧乏には理由がある」

 

フィリピンでは、まともに家族一人一人が働くだけで、それなりにきちんとした暮らしができる。でも貧乏な家庭では、親は子供が働ける年になると仕事を辞める傾向がある。だから子供は教育を受けられない。良い仕事に就けない。だからお金が貯まらない。こんな循環。もちろん厳しいのはわかるが(ブログ「フィリピンで考える「児童労働禁止」 ①」http://yoshi-jpn.com/1168/ フィリピンで考える「児童労働禁止」② http://yoshi-jpn.com/1172/)。

 

しかしきちんとしたフィリピンの家庭では、往々にして皆働いている。親が働く重要さ、教育の重要さをよく知っている。そして親が子供におんぶに抱っこにならないから、子供は自己投資や、更にその子供(孫世代)のために投資できる。

 

働いていない。だから貧乏。これは仕方がないことではないかと思う。特に貧乏から抜け出すのは、人並みの努力ではダメなのだ。人並みでは、生まれたときから存在する不平等な状況を逆転できない。どこかの世代で誰かが人生を犠牲にして、その状況から抜け出す必要がある。ただ子供に罪はない。そこは複雑な思いを持つ。

 

「送金するかどうかなんて、海外で働いている人の自由に決まっている」。そう考える日本人な私。そう思いながらも、送金するフィリピン人。もちろんサポートは大事。でも貰い手が何もしていないのを見ると、日本に生まれた私は違和感でいっぱいになる。「家族に送るのは私の使命。ゴッドがそう言っている」。こんな論法。いろんなフィリピン人を何度説得してもダメだった。宗教と"家族"の力は、フィリピンで強大。他の発想がまるで受け入れられないのだ。

 

自分たちが収入を得たいだけの法案を出してくる政府。本国で送金をのほほんと待っている家族。海外で頑張るフィリピン人は本当に大変だ。

 

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