フィリピンで考える「児童労働禁止」②

フィリピンで考える「児童労働禁止」②

前回「フィリピンで考える「児童労働禁止」 ①」http://yoshi-jpn.com/1168/の続きになります。

 

じゃあ、子供を学校に行かせればいいじゃん、という意見が出てくるはず。しかし簡単ではない。フィリピンの最低賃金は、1日327ペソ(700円ほど)。月給6500ペソ(15000円ほど)。そしてこうした職業は、すでに多くのフィリピン人にとっては、良い仕事といえるかはともかく「ましな仕事」。

 

以前パブリックマーケットで働く人の給料を聞いたとき、月の給料は3000ペソ(7000円)だった。これは、家賃を払わなくていい暮らしでもカツカツだ。たぶんほぼエンゲル係数が100だと思われる。フィリピンのような大家族の場合、より厳しい。

 

だからジョリビーはほんとに一部の家族にとっては、行きたい行きたい場所だ。以前あるフィリピンの高校生と話したとき、彼は言った。「僕のお父さんは、以前は会社を経営していた。だからその頃はジョリビーにいつでも行けたんだ。でも今会社は潰れてしまったから、もうジョリビーには行けないんだ。。。」ジョリビーの価値は、フィリピンと向き合わないと見えてこない。ジョリビーは一つの「中流家庭」の象徴だと感じる。

 

ちなみに値段でいうと、コーラ1.5リットルは43.8ペソ(2014年1月現在)。だから小さいボトル(180ミリリットル?)のコーラはセブアノで「サクト」と呼ばれている。値段は7ペソ。意味は「十分(enough)」だ。

 

そしてジプニーに乗り込んで歌を歌いおひねりをもらう子供たち。彼らは1回(5分)乗り込めば、2から5ペソほど稼ぐ。仮に2ペソでも、1日50回乗れば、100ペソ。毎日やれば、3000ペソだ。そう、この金額はパブリックマーケットで働く人の月給だ。

 

そこでもう一度聞きたい。あなたは、お金も出さず、無責任にその親にこう言えますか。

 

「あなたの子供は教育を受けるべきだ。だから学校に行かせるべきだ」

 

こんなのは先進国から来た、その国の現実を知らない人たちのいう綺麗事ではないだろうか。そしてそういう人たちは、日本にもそういう状況で苦しんでいる人達がいることも知らない。私は学生時代、「貧しい国の。。。」という無邪気に明るい人たちの言葉で随分傷ついた。それは別に「あなたにとっての『貧しい国』だけの話」ではないのかもしれないということだ。日本人の「貧しい国で何かしたい」という言葉を見聞きするたびに、ポーズに感じてしまう。別に「何か」の中身次第では、「貧しい国」以外でもできるから。

 

「児童労働禁止」

 

それを言うためには、「彼らが家に入れているお金の分」をどうするかも議論しなければならない。子供が自力で生きていける法整備も必要だろう。フィリピンの現状の場合、必要な事は決して全面的な「児童労働禁止」ではなく、教育と両立できる範囲での「収入を認められた労働」とその適用年齢の引き下げ、そして親自身が教育を受けていない層に、子供の教育と日々の生活の両立の可能性を理解してもらうことにあるのではないかと思う。それがなければ「じゃあ、その分、お前が払うのか」と思われるのが関の山だと思う。

 

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