世界標準に合わせて中高「6年」に移行するK-12プログラムが実施され、新学期が始まったフィリピンで、早くも中退者が増加するという懸念についてのニュースがありました。
「Next government asked to address senior high dropout crisis」
フィリピンは数年前まで、日本などでは「合計6年」になる「中高」の時期が4年でした。
しかしそのことで、大学を卒業する年齢が20歳になり、世界で大卒だと扱われないなどの問題も多数あり、これまでの「4年」から「6年」に移行しました。実際、日本ではフィリピンの大卒は、日本の高卒もしくは短大卒扱いにしかならない企業もかつてはありました。
そしてこれまでの4年は「high school」、そして残りの2年を「senior high school」と位置づけ、新たに加えられた2年は大学入学前に終了することが必要であるとされています。
フィリピン政府の見積もりによると、今年は140万人のうち、110万人が「senior high school」に進学したそうで、その他が進学を断念するだろう可能性が浮上しています。
なので、フィリピン国内でも、K-12に対する抗議も起こっているそう。日本も似ていますよね。高校まで義務化するような動きもまさにそう。
高等教育の充実は重要な一方、義務教育期間が長期化することが、まるで良い教育であるかのように考えている節がありますが、果たしてそうでしょうか。手に職をつけて、早く自立するという選択を奪うことになってはいないでしょうか(ブログ「フィリピンで考える「児童労働禁止」②」http://yoshi-jpn.com/1172/)。
「皆が社会のエリートになれる」という妄信とでもいうべき教育システムの構築は、子供の個性や主体性を死なせることにつながっていると感じるのです。今や日本では「ただ大学を卒業する」ことなどは何の価値も生まない時代のはず。
フィリピンの場合、職業訓練の充実を図る方が、よほど実践的だと思えるのです。
フィリピンではTESDAなどによる職業訓練はあるものの、自分の地域に興味があるコースがなく、仕方なく、選択できるコースを選択し、卒業後も仕事が見つけられないフィリピン人がたくさんいるのも現実なので、そうした選択を充実させる方が、貧しい家庭がいまだにたくさんあるフィリピンの現実にマッチしていると思うのです。
そしてそれは日本にも当てはまるようになってきている問題ですよね、と思うのです。
ランキングのご協力に、ぜひクリックをお願いいたします_(._.)_