中国とフィリピンが領有権を争っている領域が、グーグル・マップで中国名で表示されていたことに対して、フィリピンの市民らが抗議し、国際な呼称「スカロボー礁」に修正されたと報道されています。
「China-Philippines Territorial Conflict: Google Maps Removes Chinese Name Of Disputed South China Sea Shoal」
「地名は深い感情を生じさせるのを理解している」とのことで、グーグル側は素早く対処したとのこと。その領有権を争っている地域を、フィリピン側では「Bajo de Masinloc」「Panatag Shoal」と呼び、中国側では「Huangyan Island」と呼んでいるようです。
その場所は、マニラがあるフィリピンのルゾン島からは136マイル、中国の場合、一番近い場所から400マイル以上離れた場所に位置してますが、2012年より中国が実効支配しています。2013年からは、フィリピンが中国の南シナ海における大半の領有権主張が国際法に違反しているとして、オランダの常設仲裁裁判所に仲介を求め審理が行われていますが、中国はそこに参加することを拒否しています。
そこで今回2000以上の署名を集め、その内容で「中国の南シナ海の領有権の主張は違法で、諸国間での緊張を生み出している」と主張したのが今回の出来事で、グーグルは中国語名を削除することに決めました。
一連の話が非常に現在の日本の状況にも似ています。尖閣諸島しかり、竹島しかり。韓国は竹島を「独島(ドクト)」と呼びます。さらに「南シナ海」という呼び名自体も、もともとは中国への差別意識を含む「シナ」という言葉を使ったもの。まさにグーグルが言及したように、地名はとてもナショナルな感情に影響を与えるものだと思います。
そして、最近日本政府がフィリピン政府と関係を強めていることに警鐘を鳴らす話も出ています。
「国民的議論もないフィリピンとの「同盟関係」が孕む危険」
http://diamond.jp/articles/-/74608
安倍政権により安保法制が強引に進められていますが、対中国を想定したこうした領有の問題も間違いなく1つの要因でしょう。
政治をより良く実行していくのに、民主的な議論を尽くすことが大事なのは当然。これは自明です。それでも、政治の現実として、強権でもって強制的に安定を作り出すのも大事。より最悪の状況を避けるためです。もちろんそこに生じるリスクもあるわけです。
それぞれの政治には目指すべき方向があり、そのために生じるリスクがあるのは当然なわけです。皆ハッピーの政治はどこにも存在しません。あるのはより多くの人にベターな政治があるのみ。それでも現安倍政権の問題は、リスクに言及しないことや手続きがあまりに強引にすぎること。「憲法違反の可能性が高いのに採決」となると、もはや法治国家ではないです。とだけ今回は言及しておきます。
今回のこの中国名削除のニュースは、日本にも現実に起こっている領土問題と陸続きになっているものだと改めて感じます。他の国で起こっていることはグローバルが進む今の世界では他人事ではないし、さらに多くの示唆を与えてくれますね。
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