アジアの最低賃金の動向を知ることができる資料を見つけました。非常に参考になるので、ぜひ興味がある方はみてください。
「アジア諸国の最低賃金の動向」
http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2015/12/042-047.pdf
ポイントを以下に整理してみると、
○最低賃金の上昇率は、トップからホーチミン(ベトナム)、ジャカルタ(インドネシア)、上海(中国)の順
○最低賃金は、地域別・産業別・職種別であることが多い
○月額表示は、インドネシア、ベトナム、カンボジア、ラオス
日額表示は、フィリピン、タイ、ミャンマー
マレーシアー月額を原則に、日額、時間額への換算
中国―月額表示の他、「非全日制労働者」への時間額
インドは月額と日額表示
韓国は時間額表示
○審議会や委員会が毎年審議した上で勧告し、政府が決定する方式の国が多い
○除外や減額対象がある
ここからはフィリピンの情報にフォーカスを当てて、整理してみます。
まず最低賃金の上昇率ですが、2005年を基準とし、市街地の外資系企業労働者を対象にした水準ですが、ホーチミンでは400%の上昇。4倍ですね。社長なら、恐ろしい事態ですね。。。それに対して、マニラは10年で60%ほどで、上昇率では最下位になっています。こうした状況で、日系企業の進出も進んでいるわけですね(ブログ「日系企業・エプソンがフィリピンで最大規模の工場を建設し、2万人を雇う計画」http://yoshi-jpn.com/3212/)。
またフィリピンも、地域ごとに最低賃金が異なります。
「Minimum Wages in the Philippines in 2015」
http://www.in-philippines.com/philippines-minimum-wage-2015/
フィリピンは日額表示。現在のところ、フィリピンの最低賃金は17地区別に分けられ、250~481ペソ。もちろんマニラを含む首都圏が481ペソ。ただ次点では、RB-III地区の349ペソ。つまり一見481ペソが最大と見えますが、ほとんどの地域では250~349ペソになるということ。
さらに以下は最低賃金の除外対象になります。
・従業員10人未満の小売・サービス業
・政府により財政難と認定された企業
・自然災害に被災したと認定された企業など
・総資産300万ペソ(約768万円)以下の組織なども適用除外
・見習い雇用期間中の労働者の最賃は75%に減額
結果として、家族経営の小さなビジネスが乱立し、最低賃金以下で働いている人がたくさんいます。そしてフィリピンでは最低賃金を守らない経営者に対しては、以下の罰則があります。
・未払賃金の倍額の支払いが命じられる
・裁判所の判断により、罰金2万5,000~10万ペソ(約6万4,000~25万6,000円)
または懲役2~4年(併科もあり)の罰則が適用
そして何より権利意識が強いフィリピンでは、日本とは違い、従業員や元従業員が、会社を訴えるケースはよく聞きます。4年の間に、いくつか日系企業が強制捜査を受けるケースを見ましたが、多くの場合は、辞めた従業員が警察にあることないことを言い、がさ入れが行われます。そしてその人が言っていることが嘘であっても、捜査により、ビジネスは一時停止せざるをえなかったり、大きな風評被害にあうことになります。そしてまだまだ発展途上にある国では、警察をはじめ、公的な機関が賄賂に絡んでいるのもこうした問題につながっています。なので、ほんとに気を付けないとダメですね。
少しアジアの動向をみてきましたが、非常に勉強になりました。やはり普段はフィリピンの情報が基本になるので、アジアを広くみていくことは大事ですね。
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