アジア・オセアニアの日系企業営業利益黒字の見通し フィリピン72%がASEANでトップ 全体で日本人駐在員は減る傾向、経営課題は賃金上昇

アジア・オセアニアの日系企業営業利益黒字の見通し フィリピン72%がASEANでトップ 全体で日本人駐在員は減る傾向、経営課題は賃金上昇

ジェトロの調査によると、フィリピンで事業を行う日系企業の72%が営業利益の黒字の見通しになったことが報告されています。

「2015年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2015/012ae3223ad8caee/gaiyou.pdf

全体的にすごく興味深い内容ですが、今回のブログではASEANだけをピックアップして、一部情報を抜き出してみます。

ASEAN(P8をもとにしています)

順位

国名

黒字

均衡

赤字

フィリピン

72.0

15.3

12.7

タイ

70.4

13.0

16.6

マレーシア

68.3

12.0

19.8

シンガポール

65.5

18.6

15.9

ベトナム

58.8

15.0

26.2

インドネシア

56.3

11.4

32.3

ラオス

44.4

16.7

38.9

カンボジア

35.8

16.1

48.2

ミャンマー

17.7

23.5

58.8

※ブルネイは入っていないようです。

利益黒字の上位は、フィリピン・タイ・マレーシアの順。そしてインドネシアやベトナム、カンボジアのように、今後の伸びが期待できる国で、赤字予想の割合が大きいのが意外でした。そしてミャンマーは大半が赤字予想とのこと。

ただP12を見ると、ベトナムやタイで設立が2011年以降の会社で赤字の割合がダントツで大きいので、設立後5年を迎える会社は安定期を迎えている印象。やはり長く続けることが大事ですね。継続さえできれば、経済は右肩で伸びていきますからね。

そして今後事業が拡大に向かう国(P18)では

1、ミャンマー

2、カンボジア

3、ベトナム

4、フィリピン

の順で、まだまだ発展していないし、起業が大変で赤字の可能性も高いけども、先行投資の利益を見込んだ動きがまだありそうです。

従業員の割合では、今後現地従業員の数は伸びる傾向(P28)ですが、日本人駐在員は、ミャンマー・カンボジアを除き、大きく減少するようです。

そして経営課題は賃金の上昇(p32)。これは今後どの国でも不可避の問題ですね。利益との分岐点がくれば、業種によっては、事業拠点の必要が出ますからね。

フィリピンの場合、賃金は相対的に上昇しないので(P35)、

1 原材料・部品の現地調達の難しさ 62.3%

2  品質管理の難しさ     52.0%

3  従業員の質        50.0%

4  通関等諸手続きが煩雑   39.3%

5   競合相手の台頭          39.0%

とのこと。

一部を見てきましたが、非常に興味深い内容になっております。ASEANといっても、当たり前ですが、各国の経済上のフェーズは違っており、しかも常に流動的なので、判断が遅れると、投資の機会を失うことになります。有名な話ですが、中国人や韓国人に比べると、日本人は視察はたくさんするが、結局投資はされない、または判断が遅いとのことで、現地で対応する人たちが辟易しているとのこと。

そんな中チャレンジした人たちは、大きな利益を得ている流れであるのが見て取れる報告ではないかと思います。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ですね。

 

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