日本のいくつかの地域を特区にし、外国人の就労範囲を拡大する改正国家戦略特区法が今月8日に成立したことを受け、パソナグループが、フィリピン人材大手が家事代行で提携したようです。
「パソナ、フィリピン人材大手と家事代行で提携」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HYL_X10C15A7TJC000/
2016年1月をめどに、フィリピン人材大手での研修を受けた50人を、パソナで直接雇用する流れとのこと。
安保法制の陰に隠れるように成立した改正国家戦略特区法では(「改正特区法成立、医師・家事代行で外国人の活用緩和」http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC08H08_Y5A700C1EA2000/?dg=1)、規制緩和で外国人の活用を拡大します。分野は、診療所の医師、家事代行、保育所で、さらにドローンなどの技術開発の分野でも要望しているとのこと。
また今回地域も、これまでの東京圏(東京、神奈川、千葉県成田市)、関西圏(大阪、兵庫、京都)、福岡市、新潟市、兵庫県養父市、沖縄県の6地域に、今回仙台市、愛知県、秋田県仙北市の3地域が新しく加わり、すべてで9地域になります。
今後、2025年までに20万人ほど足りなくなると言われている介護人材や保育人材を、外国人がカバーするという流れになる1歩に見えます。
ただし私が考えるに、少なくとも問題が3点はあります。
1点目は、外国人を日本に受け入れるには、まだまだ日本人側にその準備がないことです。その上、現在の介護・保育の問題は、漸次的に物事を進めるには、あまりにも緊急性を要するものになっているのも事実であり、今後さらに高齢者が爆発的に増えて、若い世代はその過酷な重荷を背負うことになります。
2点目は、また以前ブログにも書きましたが、外国人労働者として求められる人材像と、そうした人材が求める仕事のギャップが明確に存在することです(ブログ「日本で働く外国人介護士 ②課題 マネジメントと働き手の視点」http://yoshi-jpn.com/2796/ )。またこれまでも研修生を違法に労働者として働かせている事実が存在しており(ブログ「日本で働く外国人介護士 ③アメリカの人身売買報告書に見る「海外からの日本の労働環境の見え方」」http://yoshi-jpn.com/2803/ )、これらの問題にどう対処するかを考えないと、人材が定着することはないと思います。
3点目は、家事代行のビジネスモデルが、雇用関係が不明であり、訴訟リスクを抱えていることがあり、アメリカで注目されていたスタートアップが、サービスの提供をやめたことも話題になっています。
「家事代行のマッチングサービスのHomejoyがサービス終了のアナウンス、業界に大きな波紋を広げている」
http://thebridge.jp/2015/07/homejoy-shutdown-pickupnews?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
それでもこうした動きが出てくることは、もはや必然といえる状況なので、注目してみていきたいと思います。
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